ブラックフォレスト滞在記

幸運なことに5月1日から4日間、ドイツのブラックフォレスト(ドイツ名 シュヴァルツヴァルト)という所に行く事ができました。
今回の旅の目的はこの地で作られているクラフトジン、モンキー47の蒸留所を訪ねることです。

成田を出発して経由地のアムステルダムで飛行機を乗り換えてドイツ南西の自動車産業の都市シュトゥットガルトを目指します。
足かけ約15時間かけてシュトゥットガルト空港に到着。

空港から車で約90分ブラックフォレストの素晴らしい景色を眺めながら滞在先のホテルを目指します。

夕方過ぎにホテルに到着し部屋のバルコニーから外を眺めて一息つきます。
眼下の邸宅の屋根がいかにも環境先進国ドイツらしいです。
夕食を軽めに済ませてバーで何杯かいただいて翌日に備えて早めの就寝です。

この日は午前中からモンキー47の蒸留所を目指します。
ホテルの前に迎えの車があるというのでいってみると、思わず歓声があがります。
前から見るとこんな感じ
1960年製のSetra S6という22人が座れるバスだそうでとっても可愛い!
上には楽器や旅行かばんも積んでいます!

ドライバーの方が現れるとまたまた大歓声です。

録音できなかったことが本当に悔やまれるホーンを響かせて出発進行です。
私は運良くドライバーの方のすぐ後ろに座ることがでました。

途中こじんまりした市街地を抜け急な坂道を上ったり下ったりするわけですが、当然ながら最新型のドイツ車に次々と抜かれていきますがそんなことは気にしません。

そうこうしている内に景色も一層のどかになっていきます。

ホテルから約1時間ほど走っていよいよ到着です。

着いて早速、歓迎のモンキー47・ジントニックが配られます。大好きなジンの蒸留所で飲むジントニックは本当に感慨深いです。
創業者でありマスターディスティラーのアレクサンダー氏も出迎えてくれました。

その後アレクサンダー氏自ら蒸留所内を案内してくださりジンの製作過程を説明してくれます。
駆け足ではありますが実際に自分がジン作りに参加しているかのような時間は素晴らしい体験でした。
昼食はドイツの南西地域、シュヴァーベン地方の伝統料理、Linsen & Spätzle をいただきます。(もちろんモンキー・ジントニックも)
この料理の主役はソーセージではありません。玉ねぎやベーコン、人参、ソーセージ、ワインヴィネガー、スープで煮たレンズ豆と、卵と小麦粉で作ったパスタとヌードルの中間みたいなものをお皿の上で混ぜながら食べます。これがとても美味しかった!

その後、蒸留所裏の丘まで歩きモンキー以外の動物たちともちょっぴり交流。

そしてモンキーに別れを告げ、

約半日過ごした蒸留所を後にし、ホテルに到着後歩いて森を目指します。

この景色を見ながら薄暗くなるまでモンキー47を飲みます。とは言ってもこの時点で8時ぐらいですから随分明るいですよね。
この季節森の中だけにすごい量の花粉が舞ってるのですが、東京にいるときのようにくしゃみがでるとかは全くありません。
日が暮れかかると気温もぐっと下り冷えたジントニックは辛くなってきます。そろそろスロージンをそのまま飲みますかね。

翌日は歩いてホテルの周りを散歩します。

 

モンキー47の47は使われているボタニカル(草根木皮)、果実の数を示していますが、そのいくつかをこのブラックフォレストで収穫されたものを使用しています。
象徴的なボタニカルのひとつに Spruce Shoot(スプルース・シュート) というものがあります。 マツ科の針葉樹で英名を Norway Spruce、和名ではオウシュウトウヒやドイツマツと呼ばれています。
英名にもあるように本来はスカンジナヴィアを中心とした北ヨーロッパで広く分布している針葉樹で、ドイツではシュヴァルツヴァルトぐらいでしか見られないようです。
モンキー47には Spruce の球果の部分を使用しているそうです。
たまたま森の中でモンキー47を飲んでいたときに足元に落ちていたのを拾い上げて撮った写真がこちら。おそらく Spruce Shoot だと思います(実際には木になっている球果を収穫しているのでこのように黒く汚れていません)。見た目は松ぼっくりにそっくりですが、比べるとかなり長めの形状です。

モンキー47はとても華やかなフレーバーを持つジンですが、かすかに感じる「earthy and foresty」なフレーバーはこのようなボタニカルから来ているようです。

ワインを表現する時にテロワールという言葉をよく耳にしますが、実際にブラックフォレストに来てモンキー47を飲んでいるとこの土地のテロワールをよく感じ取ることができます。

部屋のバルコニーにあった寒暖計

 

翌日、数時間前までの夜更かしで頭が目覚めない中なんとか荷造りをし、ホテルを後にし帰国のためシュトゥットガルト空港を目指します。快晴のブラックフォレストを眺めながら。