Our Favorite Rums

梅雨はどこにいってしまったのかと思うような暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしですか。(今日は少し降りましたね)

私は自宅では3方向の窓を全開にして1日に2、3度の水浴びをして過ごしています。

最近お店では営業終了後に1杯のラムを飲んでいます。少し前にはウイスキーを飲んでいたような気もしますが、これも気候のせいでしょうか。

 

最初にご紹介するラムは『ドン・パパ』です。さとうきびの生産に理想的なフィリピン中部のネグロス島で作られています。この地で収穫された高品質なさとうきびを原料に3回の蒸留を経、島にあるカンラオン山の麓の丘で7年間以上アメリカン・オーク樽で熟成されたダークラムです。

香りはまず華やかなバニラ、続いてオレンジの皮や遠くにパイナップル、やわらかな樽の香り、口に含むととてもなめらかに舌の上を滑る感じ、後を引く上品な甘さと鼻から抜ける香ばしいオレンジピール。一瞬スパイスト・ラムかと思うほどですが純粋なラムです。

ラベルの肖像画は酒名の由来でもある、ディオニシオ・マグブエラス(通称パパ・イシオ)という人です。この方はネグロス島で生まれその生涯のほとんどをスペインによる植民地支配に抵抗し、1896年に起きたスペインからの独立を計画したフィリピン革命にも参加した庶民の英雄です。スペインからアメリカに主権が変わってからも庶民のために戦い続け、最後はマニラにある刑務所で獄中死をしその生涯を終えています。

ラムは陽気なお酒で飲むととても楽しい気分にしてくれるお酒ですが、カリブの島々や中南米で作られるラムの歴史の背景には複雑で悲しく暗い歴史があります。初めてフィリピン産のラムに触れてまた違った歴史があることを知りました。とはいえとても美味しいラムです。ぜひボトルを眺めながら楽しんでください。

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次にご紹介するのは『プランテーション・パイナップル』です。

メーカーのサイトにとてもユニークな動画があります。http://www.plantationrum.com/plantation-pineapple

なぜこのラムを作ることになったか、どの様に作られているかがとても良く映像で描かれています。1836年に出版されたイギリスの作家、チャールズ・ディケンズの処女作『The Pickwick Papers』の中に登場するイラストのキャラクター、牧師のStigginsのお気に入りが「パイナップル・ラム」だった様で彼とディケンズへのトリビュートの為に作られたそうです。

こちらが初版の『The Pickwick Papers』

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こちらが牧師のStigginss-l225

手にしているのはパイナップル・ラムでしょうか。

このラムは是非皆さんに体感していただきたいです。少し大げさですが無人島へ1本と言われれば迷わずこの1本を選びます。(今のところ)IMGP1081

 

ちなみに先ほどの映像の中に出てくるパイナップルの皮の部分と果肉の部分を浸けているラムがこちらIMG_0426

そのまま飲んでもとっても美味しいのですが、カクテルの材料としてもとても優れたラムです。

 

最後にご紹介するのは『フェア・ラム 10年』です。クワンでは人気の定番ラムです。

このラムが生まれる場所はメキシコの南、グアテマラの東に位置するベリーズです。fb83c62cccdfb9aa06a54ef874853857

ここで有機栽培されたさとうきびを、多くの独立農家の加入する組合から適正な価格で仕入れ、伝統的な製法で発酵、蒸留をしアメリカン・オーク樽に詰めて10年間熟成後、フランス・コニャックに運ばれその地の水でアルコール調整がされ瓶詰めされます。

芳醇な香りと控えめなトロピカル、口当たりは驚くほど滑らかに滑り込む感じ、いろんなスパイスのニュアンスが口に広がりとても楽しいのと熟成感のバランスが素晴らしいです。ウイスキーが好きな方にも喜んでいただけると思っています。

このラムの輸入元のサイトにこんなことが書いてありました。「この美味しいラムが飲めるのはもう、フェアトレードという言葉がなくなるまでの間かもしれません」

カリブで生まれ育ち大西洋を渡りボトルに詰められるまでに関わる全ての人が平等で尊敬し合える関係の中で作り出されているラムです。ゆっくりとストレートかロックで味わってみてはいかがですか。

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